神社やお寺で使う雪駄とは?

年末年始にかけて除夜の鐘を突きにお寺を訪れたり、神社に初もうでに行く人も多いのではないでしょか。 今年は全国的に暖冬ということもあり、例年よりも積雪はないようですので、出かける人にはありがたいものです。 お寺や神社のお坊さんや神主、巫女さんらが雪駄を履いているのを見かけます。

最近は靴を履くお坊さんや神主、巫女さんも多いようですが、由緒あるところでは大抵は雪駄を履いています。 お寺や神社は雑木林に囲まれていることが多いため湿気が多く、しかも舗装されていない土や砂利引きとなっています。 このため、普通の草履では滑りやすくなってしまいます。

また、靴であれば大丈夫ですが、履物を履いたり脱いたりすることが多いので、靴では面倒で仕方ありません。 お坊さんにしても神主さんも巫女さんも洋服ではく、袴姿になりますので靴を履く場合しゃがまないといけませんし、足元が見えにくく履きづらくなってしまいます。 このため、お寺や神社では袴姿でも直ぐに履くことができる雪駄を履いているのです。 また、お寺や神社で使われている雪駄の多くは、祭りで使用する祭り雪駄が用いられています。 これは丈夫であることと、履いたり、脱いたりし易い割に、脱げにくい特性を持っているためです。

 

お寺や神社では、外履きの履物として草履や祭り雪駄を履く風習となっています。 特に神社では祭り雪駄を履く習わしとなっていますが、その昔は草履でした。 神社の神主や巫女は、普段催事がないときは靴でも許されているところが多くなっていますが、公式催事があるときは、必ず雪駄を履いています。

神社は神々が宿るところとして神聖な場所となっています。 神社にあるものは、人工物はなく自然の恵みから得られたもので形成されています。 このため、神社は木造建築が基本となっており、神主や巫女の着物は麻などで織られたものとなっています。 問題になるのが履物になり、木の下駄では歩きにくく転んでしまう危険性があります。 草履も同様に滑りやすいので、雪駄を履くようになったとされています。

神社で履く雪駄は祭り雪駄と呼ばれ、通常の雪駄の裏は金属の鋲が打ち込まれていますが、祭り雪駄は金属の代わりに固い木の木片が打ち込まれています。 これは、祭りも神社と同様に神にささげるための奉納となっていますので、人工物を身にまとうのはご法度となります。 このため、滑りにくい雪駄が最適ですが金属は人工物となるため、木片が代わりに打ち込まれているのです。

 

お寺や神社には格式があり、代々お寺の住職や神社の神主となった人が受け継いできました。 お寺の住職は代々から伝わる袈裟を纏い、雪駄を履いてお葬式や法事などの行事に出かけます。 ただ、最近の若い住職では靴を履いて出かける場合もありますが、正式には袈裟を纏ったときは、雪駄を履くのが正しい身なりとなります。

お寺で使われている雪駄には、色々あり、住職が普段の生活で履く雪駄から、公式行事に出かけるときの雪駄、雪や雨の時の雪駄など同じ雪駄でも何種類もの雪駄があります。 そもそもお寺の住職が雪駄を履くようになったのは、戦後のこととされています。 それまで、住職はお寺に仕える坊さんとおなじ草履でしたが、お坊さんよりも各上の住職が草履ではいけないと言うことで、雪駄を履くようになったと言われています。

お寺の住職が履く雪駄は一般的な祭り雪駄とは異なり、雪駄の裏側に金属の鋲が無い雪駄が使われています。 これは、葬式なとぜの厳粛な所において、チャラチャラと音が鳴るのは不謹慎と言うこともあり、鋲が無い雪駄を履いています。 近年ではお葬式をお寺ではなく葬儀会館などで行うケースが多く、ツルツルの床面のため雪駄では滑ってしまうため、雪駄の底かせ皮ではなくゴムで出来ているものが多くなっています。